【四字熟語の処世術】三陽開泰

 Date:2015年01月05日08時48分 
 Category:文学・語学 
 SubCategory:四字熟語の処世術 
 Area:指定なし 
 Writer:遠道重任


 新年あけましておめでとうございます。
 本年が読者みなさま方にとりまして万事如意の素晴らしき一年となりますようお祈り申し上げます。
さて一触即発とも言えそうな世界情勢に一喜一憂しながらもなんとか日日是新を信条にポジティブに生きようとはしているが、その想いも意馬心猿にして心は明鏡止水のごとき境地には到底至らず、四苦八苦の生活は当分抜け出せそうにもない。

 昨年は多くの方々と出会い、そのお一人お一人から多くを学ばせていただいた。会者定離の定めに涙する人もおられたが、その一期一会の縁を大切にし、今年は竜頭蛇尾に終わることのなきよう、常に脚下照顧して自戒を深くし、敬天愛人を旨として南船北馬、新たな縁を求めて歩き続けたいと思う。

 昨年暮れの衆議院選挙は自公の圧勝で終わり第三次安倍内閣が発足したが、好事こそ魔多しで、油断大敵である。期待票を信任票と勘違いすれば、次は厳しい審判が待つだけだろう。堯舜(ぎょうしゅん)の御代とは言わないが、温故知新、過去の時代の善政に学び、君子不器、度量深くして民の声を進んで聞いてほしいものである。内政の強さを外にまで誇示するのは愚かというもの。外柔内剛にしてこそ真に民に慕われる人、真に他国から尊敬される国となり得る。

 それにしても、昨年は年初から年末まで私自身、STAP細胞に踊った年であったように思う。人の世の栄枯盛衰諸行無常を感じずにはおれない出来事だった。科学への疑心暗鬼はそう簡単に晴れそうにないが、四面楚歌に追いやられた小保方晴子女史のこれからが気になるところでもある。老子道徳経に「驟雨(しゅうう)は日を終(お)えず」とある。にわか雨が一日中降り続く事がないように、勢いの強いものは長くは続かないという事だ。一陽来復を信じて、彼女にはしっかりと前を向いていてほしいと思う。

 開けて今年は未(羊)年である。羊は音が「よう」であることから「陽」に通じるいう。中国では「三陽開泰」といい、新年を祝う言葉として用いられている。冬が過ぎ、春が来て万物が新たになるという意味である。一期一会の項でも紹介したが、三陽を弥勒仏がこの世界を治める太平の世という説もある。
 まさに、今年が三陽開泰の年となる事を願いたい。