あれこれオーストラリア探訪「シドニーの年末年始」

 Date:2014年01月06日09時38分 
 Category:地域(海外) 
 SubCategory:あれこれオーストラリア探訪 
 Area:指定なし 
 Writer:三陽生人
シドニーで迎える初めての年の瀬は、日本との風習の違いに多々驚かされる事の多い日々だった。何と言っても、こちらは夏真っ盛り。年末という感覚が全く自分の中に沸いてこない。だから、街中のデコレーションの変化にも馴染めなかった。何よりも真夏のクリスマスはどうもピンと来なかった。あちこちに巨大なツリーが出現し、サンタクロースも登場してはいたが、隣にランニングに短パンの若者たちがたむろしていては、子供の頃から培われたクリスマスに起こる条件反射は全く起きなかった。路上のパフォーマーが奏でるクリスマスソングも真夏の服装に頭だけがサンタ帽では何とも不細工としか言いようが無かった。

シドニーのクリスマスは家族と過ごすのが習いだとかで、意外と静かなクリスマスと感じた。しかも、イブにパーティーをと提案したら、みんなからはクリスマスは25日なのに、なんでイブにお祝いするのかと笑われてしまった。さらに移民国家だけに他宗教の行事だといって、全く関心を示さない友達も居て驚かされた。考えてみればそれが当たり前の話で、クリスマスを国民の多くが祝い、国民の多くが寺に鳴る除夜の鐘の音を聴いて過ぎ行く一年に思いを馳せ、翌日にはこれまた国民の多くが神社を参拝して新年の無事を祈るという、異国の人々の目にはこれこそが不可思議な民族としてその目に写っているはずだ。クリスマスでもうひとつ驚いたのは、26日になっても街中のデコレーションがなくならなかったことだ。おそらく、クリスマスから新年にかけてがクリスマス週間のようなものなのかもしれない。

大晦日はシドニー名物の花火を見ることができた。シティとノースシドニーを結ぶハーバーブリッジ、オペラハウス、ダーリンハーバーなどのベイサイドで打ち上げられる花火は、シドニーっ子にとっては大晦日の風物詩なのだろう。恐らく見る場所さえ良ければ全貌が見渡せ、その迫力たるやかなりのものなのだろうが、そんな場所を確保できるのは一部の人で、庶民はその一部分を見て楽しむことしか出来ない気がする。花火そのものも日本のに比べると質的には劣る気がしたが、何と言っても10分足らずで一気に打ち上げる迫力には興奮した。

さてさて、明けて2014年元旦、昨晩のカウントダウンに疲れ切っているのか、人通りもまばらな我が街の風景だが、朝から大声で鳴き続ける蝉の声の何処に新年を感じろというのか…。日本人としての肌身に染みた季節感は、簡単には抜けそうにない。