あれこれオーストラリア探訪「TATTOO」

 Date:2013年07月24日11時15分 
 Category:地域(海外) 
 SubCategory:あれこれオーストラリア探訪 
 Area:指定なし 
 Writer:三陽生人
大昭寺いさじさんのエッセイ「刺青と大混浴の絵」を読んだ。いさじさんのエッセイはいつ読んでも面白い。

ところで、ここオーストラリアでは多くの人が刺青をいれている。こちらではもちろん刺青とは言わずTATTOO(タトゥー)というみたいだが、最早ファッション感覚なのだ。先日はゴールデンタイムのテレビ番組でファッションショーならぬTATTOOコンテストが行われていた。日本では考えられない番組ではなかろうか。

オーストラリアは現在、冬の真っ只中だ。オージは相変わらず季節感のない服装で出歩いているが、一応は長袖の服を着る人が大半だからTATTOOを見る機会が少しは減ったが、半袖半ズボンの春夏秋ともなれば、見たくなくても不思議な文様が目に飛び込んでくる。男女を問わず首筋、背中、腕、手のひら、太もも、足、踵など、至るところがキャンパスになっているのだ。

女性も男性と変わらずTATTOOを入れている人は多いが、中には胸元に彼氏と思われる人の名前を入れたりしている。分かれてしまったらどうするの…と心配してあげたくなるけど、恋する女性にとって愛はとりあえず永遠なのだろう。

先日、シワシワのおばあちゃんの腕にあるTATTOOをみたが、どうにも悲しさが先にたってしまった。若かりし頃はきっとかっこ良さを自慢していたのだろうが、諸行無常の風は容赦なく人を襲うようだ。

今では映画等でしか見ることのない日本の刺青だが、怖さと同時にその絵柄や色使いの鮮やかさに見入ってしまうこともある。「龍」「観音様」の文様などは、その見事さに怖さを忘れてしまいそうだ。まさにアンダーグランドの芸術という感じである。

しかし、オーストラリアで見るTATTOOはイメージがかなり違う。文様は◇や■などの図形や、花や動物などが描かれていたり、漢字を彫っている人が少なくない。漢字の意味を知らないからできるのだろうが、先日見たTATOOは背中の首すじのところに「犬」「非常口」と彫られていた。一瞬、目を疑ったが、間違いなく「犬」と「非常口」だった。日本の彫師のレベルを要求するのは酷なのかもしれないが、同じ漢字でも画数の少ないものを選んでいるように思えるオーストラリアのTATTOOデザイナーや彫師とはいったいどんな人たちなのだろうか。

そんなことよりも気になることがあるのは、TATTOOを入れたオージーが観光で日本を訪れた時に、彼らが日本の温泉に入れるのかどうかということである。「刺青お断り」の看板はオージーにも適用されるのだろうか。お節介かもしれないが、観光資源大国を目指す日本としては大事な判断だと思うのだが…。