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あれこれオーストラリア探訪「オージーの季節感」
Date:2013年09月09日10時39分
Category:
地域(海外)
SubCategory:
あれこれオーストラリア探訪
Area:
指定なし
Writer:
三陽生人
9月を迎え、漸く春の気配を感じるシドニーの街だが、このひと冬を経験してみて感じたことは、なぜこんなにも季節感の無い人たちが多く存在するのかということだった。
7月・8月はさすがにオーストラリアといえども普通に寒い季節なのだが、前回のこのコラムにも紹介したとおり半袖半ズボン姿の男女があちらこちらを闊歩しているのである。一人や二人ではなく、たくさんいるから驚きなのである。中国・韓国・日本人は普通にコートを着たりマフラーをして歩いているのだが、その横でノースリーブの女性が平然と立っている姿には、見ているこちらが寒さを覚えてしまう。「何か羽織っていただけませんか」と頼みたくなるくらいだ。
ところで、もう一つ解せないのがオージーの日光浴だ。オーストラリアの紫外線は日本とは格段と違うらしい。オーストラリア大陸の上空は、紫外線を吸収するはずのオゾン層に穴(オゾンホール)があるため、紫外線が異常に強く地上に降り注ぐのだそうだ。結果、日焼けによる皮膚の色素異常は、皮膚癌などの慢性の皮膚障害を発症させている。オーストラリアでは毎年約400名が皮膚癌で死亡し、その発生率は世界一なのだそうだ。
こうした現状からオーストラリアの癌防止協会では、1980年代から全国的な皮膚癌予防キャンペーンをはり、スリップ(長袖の上着を着て)、スロップ(日焼け止めクリームを塗り)、スラップ(つばの広い帽子をかぶる)の標語を使用し、現在では、ラップ(サングラスをかけて)を追加して有害紫外線対策とその教育を徹底している。
にもかかわらず、なぜかオージーはこの時期からすでにノースリーブ、半袖、半ズボンなのである。しかも、市中にある公園の日中ともなれば、上半身裸でうつ伏せに寝転ぶ男女の姿があちこちに散見できる。皮膚癌の危険を冒してまでも太陽光を体に吸収したいというオージー感覚とは如何なるものなのか。真冬でも半袖半ズボンの暑がりオージーが、なぜこれからの季節、熱き太陽光を体に取り入れようとするのか。
オージーの季節感、オージーの体の作りに、私の疑問符は今も消えずにいっぱいなのである。