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【街景寸考】残念に思うこと
Date:2021年02月17日08時01分
Category:
エッセイ
SubCategory:
街景寸考
Area:
指定なし
Writer:
大昭寺いさじ
戦後生まれのわたしは、自由と民主主義、男女平等を謳う新憲法の下に育ってきた。加えてマザコンだったせいもあり、女性を差別するという感情も観念もほとんど持たずに子ども時代を過ごしてきた。
この間、男尊女卑という言葉をときどき耳にしてはきたが、それは戦前までの制度や風俗・慣習のことだと思っていた。だから新憲法が施行されてからは、制度だけでなく国民の意識も慣習も一気に改められたのだと思っていた。
ところが、子どもが行かない職場などは別として、家庭の中には女房に威張り散らす亭主関白があちこちにいることを目の当りにしてきた。当時は男性が外で働いて金を稼ぎ、女性は専業主婦として家を守るという傾向が強く、この経済力の差により女房が亭主に従うという関係性が続いていたからだろうと思う。昭和30年代のことである。
その後、人権意識の高まりや社会政策としての男女共同参画の推進により、更には共稼ぎ世帯が急増するという背景もあり、現在で職場内はもちろん家庭内においても女性があからさまに軽んじられる事象は相当減ってきたように思う。
もちろん、減ってきたとは言え、性差別の制度や慣習、感情が過去何百年にもわたって続いてきた歴史の重みを簡単に消し去ることはできないのも事実である。制度は変えられても慣習や感情を一朝一夕に変えることはできるものではない。今回、物議を醸すことになった森会長(五輪組織委員会)の発言からも、そのことを窺い知ることができる。
わたしの場合はどうか。冒頭述べたように女性を蔑視するような人間ではないと自分では思ってきた。ところが、このことをカミさんに言うと「おとうさんだってまったく(性差別の意識が)ないとは言い切れないんじゃないの」と言い返された。わたしを長年近くで見てきたカミさんがそう言うのなら、そうかもしれないと素直に受け入れた。
素直に受け入れたのは、わたしも戦後教育を受けてきたとは言え、まだ性差別が残る社会で育ってきた人間であり、その名残が心のどこかに巣食っていてもおかしくないからだ。何かの折にそれが無意識のうちに飛び出してくることがあっても、不思議はない。
今回の森会長の女性蔑視発言も、おそらくこういう残滓から放たれたのだろう。謝罪会見での逆切れや、辞任あいさつでの「(蔑視発言が)解釈の仕方による」という弁明を聞き、彼の性差別に対する感度の鈍さをはっきり知覚することができた。
先日のТV報道を観ていたときのこと。森会長の発言を非難していたどこかの亭主が、それを言っているそばから「オーィ、飯はまだか」と女房に言い放ったという、笑えぬギャグのような投稿が当の妻から寄せられていた。この亭主も森会長とまったく同じ感度の持ち主のようだと思えた。こういうオヤジが、まだ日本にいることが甚だ残念に思う。
世界経済フォーラムが発表した女性格差を測るジェンダーギャップ指数2020で、日本は世界153か国中121位だったようだ。香港やウィグル自治区の人権問題で各国から非難されている、あの中国よりも低いということに驚いた。