【街景寸考】花金(はなきん)を過ごす

 Date:2012年10月18日09時09分 
 Category:エッセイ 
 SubCategory:街景寸考 
 Area:指定なし 
 Writer:大昭寺いさじ
 同僚たちと久しぶりに天神界隈へ繰り出した。
 その日は「花金(はなきん)」である。

 「花金」とは「花の金曜日」のこと。もう20年くらい前にできた造語であり、バブル経済で産み落とされた。何で金曜日に「花」が付くのかというと、このころ導入された週休二日制により、仕事が引けてから夜遅くまで楽しむことができる日になったからだ。今は不況が続いて勤め人の給料も減ってきたので、「花金」の楽しみ方も当時と較べて地味になっているのではないか。

 で、天神からきらめき通り、そして西通り、そして飲み会のある大名の裏通りへとネオンが灯る夕暮れ時を楽しみながら歩いた。
 どの通りも勤め帰りの若い男女やサラリーマンたちで賑わっていた。「花金」だけに、どの顔も普段より自由で開放的だった。特に若い女性たちの笑顔は明るく輝いていた。普段は陰気臭く見える男たちまでが、こうした女性たちの華やかさに照らされて元気をもらっているようにも見えた。

 ここで目線を下方に移す。若い女性たちが穿いているスカートのことだ。最近は超短いスカートを穿く女性が増えた。テレビCMで、親父役をやっている白い犬が、「スカートが短い!」と言って女房と娘を叱っている映像を思い出した。
 私もこの親父の忠告に同調したい。近年はジーパンを穿く女性が多くなったと思っていたら、いつの間にか超ミニが増えてきた。短い足や太い足までも穿いている。

 ところが、この超ミニはなぜかパンチラがない。風が強く吹いていてもない。以前のミニスカートは今よりは長めだったが、パンチラがときどきあった。今のそれは縫製の仕方に何か工夫されているのか。スカート風の半ズボンにも見えなくもないが、分らない。

 普通の目線に戻す。天神・西通り界隈は洒落た建物が並び、美しく、ハイカラな街になった。外資系の有名ブランド店やファッションブランド店の出店も相次ぎ、「花金」の演出効果を更に醸しだしている。この界隈は長引く日本の不況とは無関係にあるようだ。
 否、この界隈だけでなく福岡の街全体がそう見える。「地域の再生」とか、「街の活性化」とかをあえて課題にする必要のない街のようだ。

 さて、楽しい「花金」と表裏の関係にあるのが月曜日に訪れる「月曜病」だ。「花金」が楽しいほどその反動は大きくなる。
 日曜日の夕方から発生する「サザエさん症候群」はその前兆だ。ほどほどの「花金」を楽しみたい。