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【街景寸考】居候との共存の仕方
Date:2012年12月13日09時50分
Category:
エッセイ
SubCategory:
街景寸考
Area:
指定なし
Writer:
大昭寺いさじ
今回は他にネタが思い浮かばないので、目の前にいる我が家のネコのことを書いてみる。このネコが我が家に来たのは5年前だ。寒空の下で「ニャァ、ニャァ」とか細く鳴いていたところを娘が拾ってきた。まだ生まれたばかりのようだった。
最初、カミさんは家に持ち込むことに難色を示していたが、娘の強い懇願に負けて、「今晩だけなら」ということになった。それから5年間、我が家で居候を続けている。
このネコの名を「ソフィ」と呼ぶことにした。アニメ映画に登場する女の子の名前を付けたものだが、そのあとでこのネコがオスだということが分った。私は、ネコは嫌いではないが、可愛がればどっぷりなつき、親愛の情を分りやすく表現する犬の方が好きである。可愛がっても「付かず離れず」の、扉を半開きしたような関係を保つネコの習性は好きになれなかった。
案の定、ネコの世話役はいつの間にか娘からカミさんに変わっていた。その娘も他所の町へすでに嫁に行っている。今では夫婦と息子の3人家族となったが、暮らしぶりを見ると本人?は4人目の家族だと思い込んでいる。2階の階段から降りてくる家族の足音を聞き分け、カミさんや息子であれば、どこからともなく素早く出てきて「餌をくれ」と甘えてくる。私の足音だと聞き分ければ、座椅子の上で寝た振りをするか、炬燵の中にいてもじっとしたままである。いわゆる「シカト」をするのである。私からは餌をもらえないことをネコは知っているからだ。ネコと私は、お互いそんな付き合い方をしてきた。
そんな関係ではあるが、一つだけ私がこのネコのためにする日課がある。ウンチの片付けである。一番早く起きる者の役回りとなってしまったようだから仕方なく務めている。苦になる作業ではないが、朝最初にすることがネコのウンチ探しだと思うと、清清しい朝を感じるまでには余計な時間だと思っている。出たばかりの新しいウンチを片付けるときは、湿った臭いが辺りに漂いながら鼻に絡んできて、惨めさも加わる。「これが主人に対してすることか」と思うが、この気持ちが居候に伝わることはない。
このネコとの関係で、あることを思い付いた。それは、ネコの寿命が20年とすれば、あと15年の残存期間があり、男の平均寿命が78歳とすれば、私もあと15年となる。であれば、お互いハンディなしで堂々とどちらが長生きできるか競争をしてみようというものである。「この居候よりも1カ月でも、1日でも長く生きてやる」を今後の励みにしていこうというものだ。
このネコと共存していくための術でもある。