【四字熟語の処世術】油断大敵

 Date:2012年12月13日16時50分 
 Category:文学・語学 
 SubCategory:四字熟語の処世術 
 Area:指定なし 
 Writer:遠道重任
油断大敵


先日、あるサイトで小学校6年生が知っておきたい四字熟語というのを見つけた。結構難しい熟語が並んでいるのに驚いた。今回は、その中の一つにあった「油断大敵」を紹介する。

随分と前のことになるが、若い頃は友人とプライベートで大阪方面に車で出かけることが多かった。
夜遅くに福岡を出発し、早朝に大阪や神戸の街に着くといった、若いからこそ出来た強行スケジュールのドライブだった。年に数回、こんな強行軍をこなしていたが、そんな中でいくつか忘れられない出来事を経験した。その中の一つが高速道路でのガス欠だ。こともあろうに、この過ちを2回も経験してしまった。いずれも私が運転している時ではなかったが、なんとも不甲斐ない経験である。

その時は4人のドライバーが2時間おきに休憩を取りながら交代で運転する旅だったが、いずれもドライバーがガソリンゲージを見落とした為に起こった、実に高速道路では決して起こしてはならないミスだった。今なら携帯電話ですぐに助けを呼べるかもしれないが、当時は高速道路備え付けの電話を探さなければならず、路肩に止めた車を降りて探し歩くのは危険極まりないことだった。

2回ともガソリンを運んでもらい事なきを得たから良かったが、文字通り、油が断たれた状態は、我々の「油断」そのものの結果だった。

私が人生の師と仰ぐ先生から、「人は何事に付け自信のない事を行うときはそれほど大きな失敗をすることはない。しかし、自信があること、慣れきったことを行うときこそ、大きな失敗をするものだ」と言い聞かされている。

油断がいつ生じるのかを考えてみれば、それはまさに自分の心が緩み切った時に生じると思う。事に馴れ緊張感を失ったその心の隙間に、気づかないうちに入り込んでくるもの、それこそが、油断という自身の内側に潜み悪さを働く大敵なのである。

人は外敵には身構えて事なきを得るが、内なる敵には身構えることすらなく、易々と心を奪われて気づけば大なり小なりの惨事を起こしてしまう。

油断という名の大敵は、いつも我々を内側から覗っていることを忘れないでいたい。