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第二の職場はつらい、本音は?
Date:2012年03月27日07時54分
Category:
エッセイ
SubCategory:
街景寸考
Area:
指定なし
Writer:
大昭寺いさじ
定年後の働き先である第二の職場のことで愚痴をこぼす60歳代の男性が回りに結構いる。職場環境がガラリと変わるのだから当然と言えば当然である。そのプレッシャー相当なものだろう。自分より年下の上司や、上司でなくても社員すべてが職場の先輩になるわけだから、心境は複雑になるのは仕方がない。彼らの振舞いはいかにもそうである。だから「やってられない」気持ちになり、当初の予想より早く辞めていく例も少なくない。
20代、30代の若者であればこうした環境変化に萎縮するようなことはあまりない。早く仕事を覚えることもでき、新しい人間関係にも順応が早いからだ。60を超えるとそうはいかない。覚えは悪くなり、考え方が硬くなっており、融通が利かなくなっている。前の職場で上から目線が長く続いたため、第二の職場では目線の方向が定まらず、目が回ってしまうようだ。言葉遣いも変な調子になる。年下とはいえ上司、先輩になるのだから敬語調で話すべきかと思いながら喋るから、口の中で舌が空回りするという。
「以前はこれでも偉い役職にいたのだとか、大きな仕事をしていたのだ」と自慢話をしてみたとしても、連中の目線が下から上の方向に変わることは決してないだろう。「だからなんなのですか」「ここでの仕事をキッチリしてもらえばいいことですから」と切り返されるのが関の山である。だから、つらい・・・。
しかし、第二の職場の連中に言いたいことは、「定年組みは、連中にチョットだけでもいいから敬ってもらいたい、新しい仕事をチョットだけでも優しく教えてもらいたい」ということである。こうした我儘は、60過ぎの定年組みからはとても声に出して言えない立場にある。しかし、そうしてもらうことで硬く萎縮した老体が解き放され、柔らかくなり、段々と職場の戦力になってくること請け合いである。
戦力になっていけば、それが生きがいとなり、使いようによっては70歳くらいまではバリバリ使えるのだ。頭も身体も。厄介者のように冷たく扱われると、その潜在能力は消えてしまう。もったいない話である。