三寒四温

 Date:2012年03月21日10時01分 
 Category:文学・語学 
 SubCategory:四字熟語の処世術 
 Area:指定なし 
 Writer:遠道重任

冬の寒さがゆるぎ始め少しづつ春を感じる今日この頃、「三寒四温」の言葉がぴったりの季節を迎えています。
三寒四温は冬季に寒い日が3日ほど続くと、その後4日間ぐらいは暖かい日が続くという、気候の変化を表した言葉ですが、緩やかに春の暖かさが近づいてくる様子を表した言葉でもあります。
冬に大陸に発達するシベリア高気圧の勢力がおよそ7日周期で変化する事により起こると言われています。

暦を見ていると1年を24節気に区分した表現を見つける事が出来ます。立春(りっしゅん)、雨水(うすい)、啓蟄(けいちつ)、春分(しゅんぶん)…こんな言葉を聞いた事はありませんか。
15日間で1節気づつ変わって行くのですが、この1節気に3候があって5日で1候づつ変わって行きます。1年では72候あることになりますが、例えば立春には「東風が厚い氷をとかし始める候」「鶯が山里で鳴き始める候」「割れた氷の間から魚が飛び出る候」といった3候が配され、自然界の様子で時候を表現してくれています。

私達は「気候」という言葉を日常に使いますが、気候とは、この24節気72候を指しているのです。何気に毎日を送る私たちは、この気候の変化を日々に感じ取る事はなかなか出来ません。
しかし、自然は何も言わず、5日に1候の変化を繰り返しながら、四季を運行しているのです。

自然は決して止まる事なく、常に緩やかな変化を繰り返しています。急激な変化を好まないの
か、何事も緩やかな変化です。
それに比して私達はいつも急激な変化を求めたがります。同じ成長でも急成長を望むのが私達の常ではないでしょうか。急激な変化には大きなリスクがあることを知っていながら…。


三寒四温…三歩進んで二歩下がる様な自然界の緩やかな変化は、まるで私たちに「ゆっくり、ゆっくり、止まることなく前に進めよ」と、処世の術を教えてくれているように感じます。