【街景寸考】失態議員たちのこと

 Date:2014年08月20日09時23分 
 Category:エッセイ 
 SubCategory:街景寸考 
 Area:指定なし 
 Writer:大昭寺いさじ
 兵庫県議会の野々村氏は号泣議員として一躍有名になった。海外メディアも大きくはやし立てた。このことでマイクを向けられた主婦が、「うちの5歳の息子でも、あんな泣き方はしません」とコメントしていたが、思わず頷いてしまった。泣いている様子は幼児そのままだったが、実際に泣いているのは大の男なので、見世物的な面白さがあった。恥も外聞も捨ててのことなのか、それとも感情に走り過ぎてしまったからなのか、いずれにしても普通の人だったらあんな醜態を晒すことはない。

 当初は号泣場面の面白さばかりに気を取られていたが、会見の目的を知ってからは笑えなかった。政務活動費を詐欺まがいに不正取得するという疑惑があったからだ。泣く様子は4歳以下だったが、やっていたことは悪質極まりない行為だった。結局、彼は議員辞職し、受け取っていた約1800万円全額を返還することになった。議会から虚偽公文書作成等で告発され、オンブズマンから詐欺容疑でも告発されることになった。

 北海道議会でも失態があった。小畑という議員が欧州視察の航空機内で酒に酔い、リクライニングシートの角度をめぐり乗客や乗務員とトラブルを起こした。そこで同議員は暴言を吐き、拳を振り上げた。まだある。昨年の岩手県議会だ。小泉という議員が病院の外来で醜態を演じた。事務職員から自分が名前ではなく受付番号で呼ばれたことに腹を立て、「ここは刑務所か」と怒鳴り、会計をすっぽかして帰ったのである。いずれも、議員の肩書を振りかざした傲慢な態度であり、軽蔑すべき人たちだ。

 思うに、地方議会は果たして本当に必要かと問いたい。民から声を聞く制度さえあれば、民から選ばれた首長とその参謀、職員だけで自治体運営は足りるのではないか。極論ではあるが、あたかも議会制民主主義で運営されているかのような実態を知れば知るほど、議会が必要だとは思えないようになった。ほとんど形骸化し、質問も答弁もあらかじめ作られたシナリオの上で行われているだけである。これほどの税金の無駄遣いはない。

 彼らは「先生、先生」と呼ばれ、選挙民には仏のような笑顔を見せるが、自治体職員などには横柄そのものだ。そうした態度が原因となって職員が退職し、ノイローゼになったりする例もあると聞いた。自治体運営の足かせになっていることを否定できない実態がある。

 そういえば、「先生、先生と呼ばれて喜ぶ○○」という言葉があった。