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【街景寸考】韓流に見る演技力
Date:2015年03月04日08時01分
Category:
エッセイ
SubCategory:
街景寸考
Area:
指定なし
Writer:
大昭寺いさじ
リタイア後は時間をもてあます生活が続くだろうと思っていたが、そのとおりになった。「今日こそ何か変化をしてみよう」という気持ちで勢いよく蒲団から起きても、その意気込みはいつの間にか消えている。結局変化がないままの一日が過ぎてしまう。用事らしい用事と言えば、車でカミさんを買物に連れて行くことと義父のお世話を少しすることぐらいしかない。少しは家事を手伝ってもよいと思っているが、カミさんから当てにされている気配がないので、そのままでいる。
最近、退屈しなくていい時間の過ごし方を偶然見つけた。韓流ドラマにはまったのだ。韓流ドラマがBS各局で放映されているのを知ったことから、そうなった。よく見ているのは時代劇だ。高句麗、新羅、百済の王や将軍たちが登場し、互いに覇権を争ったり、宮廷内で執拗な権力闘争を繰り広げたりする物語は面白い。大陸文化や儒教思想が背景に描かれているところも興味深い。これらのドラマが実際の朝鮮史に裏付けされたものかどうかは分からないが、少しでも史実が味付けされていればそれで構わない。ときどき唐や倭国の名が出てくると立体的な感じになってより楽しさが増す。
韓流の役者に感心するのは、泣く場面の演技だ。日本の役者はこの辺が実に物足りない。大げさに泣き顔を拵えてはいるが、ほとんど涙がこぼれていない。何とか絞り出そうとしているのは伝わってくるが、肝心の涙は一滴もこぼれない場合が多い。
韓流の役者たちは、泣かなくてはならない場面で必ず涙をこぼす。それも、ぼろぼろこぼす。いくらでも涙がこぼれるので、しばらくカメラをアップしていても心配しなくていい。そういう真に迫った演技を称えたくなる。
素人の自分が俳優たちの演技力を公平に評価することはできないが、泣く場面で涙ひとつ流すことができない日本の役者たちを三文役者でしかないと思う。目薬で演技が上手くいくのなら、そうしてもらいたい気持ちである。
今のところ日に3本も4本も韓流ドラマを見ているが、この付き合いがいつまでも続くとは思っていない。そのときがきたらどう生きるか。不安ではあるが楽しみでもある。