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【街景寸考】ミニマリストのこと
Date:2015年09月16日08時01分
Category:
エッセイ
SubCategory:
街景寸考
Area:
指定なし
Writer:
大昭寺いさじ
「ミニマリスト」という人たちのことを最近テレビで知った。若い世代に増えつつあるという。必要最小限の物を所有して暮らすという人たちだ。断捨離と似た生活スタイルである。断捨離とはヨガで使われる言葉で、物を買わない、必要のない物は捨てる、物への執着から離れる、というような意味があるらしい。
人間は物を色々持ってみたいという欲求がある。貧乏な家で育った者ではなくても、お金があれば贅沢な物を買いたくなり、日用品や電化製品も新製品と買い替えたくなるという欲求がある。「ミニマリスト」を自称する人たちの稼ぎがどのくらいあるのか分からないが、稼ぎがありながら敢えて物のない暮らしをしようとするなら、何らかの主義を持った人たちだと言える。
若い頃の自分も部屋にほとんど物がない生活を続けていた。ある物といえば、少しの書籍と2,3枚の衣服と下着、それに蒲団があるだけだった。それでも生活に不便さを感じたことはなかったが、断捨離の類ではない。甲斐性がなかっただけである。思えば、こうした暮らしは独り身だからできたとも言える。家族持ちになればとても無理なように思われる。
実際、自分も家族持ちになってからは、収入がそんなに増えたわけではなかったが家の中に物が増えた。子どもやカミさんのために必要な物は備えようとしてきただけだったが、物は一気に増えた。
彼ら「ミニマリスト」は、「最少のもので最大を得る」とか「余分なものを持たなければ本質が見えてくる」とかいう言葉を発していたようだが、これだけではその主義が分からない。新しい暮らしの価値を創造するということなら少しは理解できるが、物を排するという暮らしとどこで繋がるのかが分からない。
さて、今の自分にとって最小限必要な物とはなんだろうかと考えてみた。既に物が家に溢れているので新たに必要な物はない。この辺はカミさんも同じ考えだと思う。むしろ今は家にある余分な物を捨てたいという願いがある。この点に関してはカミさんと決定的な違いがありそうだ。
「ミニマリスト」に告げておきたい。物のない暮らしができるのは独身時代までのことである。