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【街景寸考】自家用車を買い替えた
Date:2015年10月07日08時01分
Category:
エッセイ
SubCategory:
街景寸考
Area:
指定なし
Writer:
大昭寺いさじ
最近、自家用車を買い替えた。今回も中古車である。新車を買ったことは一度もない。経済的に余裕がないということもあるが、運転が大雑把なので車庫入れのときなどに傷付けてしまうのが目に見えているからだ。車そのものにあまり興味がないというのも新車を買わない理由の一つだ。
車は自転車より速く走ればよいし、リヤカー並みに物を運ぶことができればよいぐらいの期待しかない。車種が何で、排気量がどのくらいで、デザインがどうのということにまるきり関心がない。こうした持論は昔から一貫して変わってない。
自家用車には気の毒だったが、大事に扱うということがなかった。自分で洗車をしたこともない。盆と正月前に給油所の自動洗車機を利用することがあったが、今では利用していない。ときどき次男が洗車をしてくれることがあるが、じっと見ているだけである。
運転席の付近にある装置は何とか操作できるが、その他は構造も役割も分からない。だからボンネットを開けたことがない。たとえ開けてもラジエーターぐらいしか知らない。以前乗っていたボロ車のお陰でラジエーターのことを知ることができた。10数万円の中古車だったからか、買って直ぐにラジエーターから水が漏れるようになった。走らせるとたびたびオーバーヒートをして動かなくなった。そのたびに付近で水道の蛇口を探し、水を注ぎながら走らせた。それぐらい車に対してはいい加減だった。
今回の買い替えに際しては、カミさんが主導権を握り、積極的に動いた。それまで乗っていた自家用車が走行距離15万kmを超えていたので、安全面での心配が募っていたようだった。お陰で土・日には中古車センターやディーラーを回らされた。
運転免許を取ったのは学生時代だった。助手席に彼女を乗せて走ってみたいという憧れがあったわけではない。雪が降る寒い日に工事現場で廃材をトラックに積み込むバイトをしているとき、その運転手は暖房の効いた運転席でエロ漫画を読んでいたのを見たからだ。その光景を見て、何が何でも運転免許を取ってやるぞと心に誓ったのだった。
買い替えた中古車は、色も形もカミさんは気に入っているようだ。走行距離の数値にも満足していた。思いのほか自分も満足していた。今度は大切に使ってやりたいと思っている。
最後の買い替えになるかもしれないという感慨が、そう思わせるのかもしれない。