【街景寸考】新年早々のこと

 Date:2016年01月13日08時01分 
 Category:エッセイ 
 SubCategory:街景寸考 
 Area:指定なし 
 Writer:大昭寺いさじ
 大晦日に身体の節々が痛くなり、熱が出て喉も痛くなった。頭を軽く振っただけで中心部が疼いた。風邪を引いてしまったのだ。今冬初めての風邪引きだった。翌元旦になっても風邪は一向に改善されず、向かいに住む次男夫婦と一緒に家の中でささやかな新年を祝った。

 正月2日目は、長女家族の家に私たち夫婦と息子たち家族が集い、鍋料理をしたりして楽しんだ。長女夫婦が家を買ったばかりだったということもあり、祝いを兼ねての食事会でもあった。総勢17人。7人の孫娘たちは嬉しがり、騒いだ。

 私ジイジは、その賑わいの端で座椅子のリクライニングを倒し、寝たふりを決め込んでいた。風邪の症状にじっと耐えるしかなかった。時折、リビングを走り回っている孫娘たちが、元気のないジイジの様子をかわるがわる見にきていたが、愛想を返すことができなかった。

 と、その賑やかな最中にジイジの両手にそっと熊の縫いぐるみを持たせた孫娘がいた。「ジイジ、元気出して」という言葉の替わりに示した気遣いのように思った。目をつぶっていたので、どの孫娘の気遣いだったかは分からなかったが、その気持ちのお陰で胸の奥が暖かくなり、少し元気になったような気がした。

 正月4日には、もうパートの仕事に行かなければならなかった。熱もとれ、体調は大分良くなっていたが、唾を呑み込むとまだ喉に痛みが走っていた。仕事で汗をかけば風邪なんか吹き飛ばせるという気持ちで臨んだが、昔のようにはいかなかった。仕事で体力を消耗した分、自宅に着いたときは身体も気分もヨレヨレになっていた。

 加えて、仕事中に異物感のある左目を何度も擦ったので、それが原因になって結膜炎の症状が出始めた。深夜、トイレに行くため寝床から起きようとしたら、目ヤニで目を開けられなくなっていた。新年早々、風邪引きと結膜炎で心機一転どころではなくなっていた。

 昨今、老人会から色々な行事の案内状がくるようになった。まだまだその部類の仲間にはなりたくないという思いがあった。そのためにも、今年は若さを保つための抱負でも考え、実践したいと思っていた矢先だった。若さを保つための抱負とは言っても、自分の老化、劣化に抗しようとするもので、腕立てや腹筋の回数やジョギングの距離を目標にするくらいのものではある。当分の間は、そうした目標も先送りすることになりそうだ。