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【街景寸考】東京マラソンに思う
Date:2016年03月09日08時01分
Category:
エッセイ
SubCategory:
街景寸考
Area:
指定なし
Writer:
大昭寺いさじ
子どもの頃から短距離走は速い方だった。反対に、長距離走に苦手意識があった。長く走れば息が苦しくなり、その苦しさと長くつき合いながら走るという競技が好きになれなかった。長男と長女は自分に似て短距離走向きだったが、次男と三男は長距離走の素質があるように思えた。特に三男は社会人になった今でも、地域を代表する大会などに出場している。
短距離走は瞬発力、長距離走は持久力が必要だ。次男と三男に具わった持久力が父親の遺伝子からではないのは確かなので、カミさんの遺伝子を受け継いだというしかない。カミさんの先祖のことは知る由もないが、校内レベルではまずまずの順位だったということだ。休まずにただひたすら走れば、そうなったということだ。その持久力はカミさんの生真面目さから生じた走力だったというほかない。
先日、東京マラソンをテレビで観た。途中から観たので旭化成の村山選手が先頭を走っているように思ったが、ずっと彼の先を7人の黒人ランナーが走っていたことがわかり、たちまち気分が萎えた。この大会は、五輪代表の選考対象になるという大会でもあったので、中継カメラは日本人の中で上位を走るランナーを中心に追いかけていたのだ。
結果的にはヤクルトの高宮選手が日本人1位の総合8位でゴールをしたが、彼に称賛を贈る気分になることはできなかった。五輪でのメダル獲得は、とても期待できないように思えたからだ。野球で言えば、敗戦投手を誰にするかを決めるような感じに等しい。
男子だけではない。女子マラソンもケニア、エチオピアなどのアフリカ勢の速さが目立っている。高橋尚子、野口みずき、渋井陽子らが世界をリードしていたときもあったが、近年の女子ランナーは世界レベルから遠ざかっている。
リオ五輪では更にアフリカ勢の数は増えるはずだ。黒人ランナーの心肺能力に格段の差を感じる。車でいう排気量が違うので、土台メダルの獲得は無理だと言ってもいい。マラソン競技も柔道やレスレングに体重別ルールがあるように、排気量別のレースにしたらどうかとも思うことがある。せめてアフリカ勢だけでも別枠にしてもらえると助かる。
うちわの遺伝子話に戻る。長男と長女は短距離向きだからといって、父親の不真面目さの方も受け継いでいるというわけではない。やはり両人とも生真面目な人間である。性格面に関してはカミさんの遺伝子の方が濃かった、ということが言えそうだ。