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【街景寸考】若者よ、まわしを締めよ
Date:2016年03月30日08時01分
Category:
エッセイ
SubCategory:
街景寸考
Area:
指定なし
Writer:
大昭寺いさじ
横綱・白鵬は強い。白鵬だけではない。モンゴルの力士が日本人力士よりも強いことは番付が証明している。日馬富士も鶴竜も横綱になったし、大関には照の富士もいる。大関、横綱7名のうち4名がモンゴルの力士だ。貴乃花以降、日本人の横綱は未だ出ていない。
外国人力士が横綱、大関になるのが気に喰わないというわけではない。強い気力や気迫が伝わってこない日本人力士に腹が立っているのだ。大関までは何とかなることができても、勝ち越すのが精いっぱいの大関ばかりである。相撲の型や取り口を見ていても、横綱になれそうな日本人力士はいないように思う。
稀勢の里は、ときどき白鵬を負かすことがあるが、上半身で相撲を取るので腰高になり、これが災いして下位の力士を相手に取りこぼしてしまう。豪栄道もせいぜい大関までの器にしか見えない。今場所注目された琴奨菊は、がぶり寄りしかないので上位力士にまわしを取られると相撲にならないことが多い。実際、今場所もまわしを取られては「コロコロ、コロコロ」と土俵の上を転がっていた。
以前、モンゴル相撲をテレビで見たことがあった。そのときは日本の相撲とは違い、土俵がないので押したり寄ったりする日本の相撲には合わないように思えた。日本人は胴長、短足の体型なので、腰も低い位置にあるのでモンゴルの力士よりは有利だとも思った。
ところが大きく予想に反した。日本で修行をしたモンゴルの力士たちは本当に強くなった。白鵬の取り口には、かつての大鵬や千代の富士、貴乃花の強さをチャンポンにしたような強さがある。
途中引退した朝青龍も、かつての北の湖と同じように憎たらしいほどの強さがあった。
彼らは努力を重ねて日本相撲の真髄を究めようとしている。その姿勢は日本人力士以上である。相撲という競技は、体重を増やすことも、足腰を強くすることも、筋肉を付け、技を覚えることも、連続した努力の積み重ねなしには決して身に付くものではなかろう。
スポーツ界では柔道の柔ちゃん、卓球の愛ちゃん、テニスの錦織選手、フィギュアスケートの真央ちゃんなどの登場で、その競技人口が増え、全体のレベルが高くなった。相撲界もこうした日本人力士の登場が早急に必要だ。
尻を見せるのが嫌だという今の若者の声を聞いたことがあったが、尻を晒すぐらいどうだと言うんだ。女性の尻はともかく、お前たちの汚い尻など誰が見るものか。若者よ、ここはひとつまわしを締めよ。そして横綱を目指してほしい。ジジイの悲痛な叫びでもある。