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Date:2018年01月17日08時01分
Category:
エッセイ
SubCategory:
四字熟語の処世術
Area:
指定なし
Writer:
大昭寺いさじ
毎年何かとメディアに注目される成人の日だが、今年は新成人の女性たちに大変気の毒な出来事が起こった。晴れ着のレンタルや着付けなどを商売にしていた業者が、一番肝心な成人の日に突然営業を停止したのである。おそらく計画倒産の類だろう。
このため、予約していた晴れ着を着ることができない女性が続出した。結局、成人式に出席しなかった女性も相当いたようだ。別の業者のはからいで着付けはできたものの、式典に間に合わなかったという女性も。何とも悔やまれる事件である。当の会社の社長は卑劣にも、今もどこかに雲隠れしたままだ。
この騒動を尻目に、別の見方もしていた。新成人の女性たちにとって成人の日とは、単に晴れ着を着る日くらいにしか思ってないのではないかと。そういう見方をしたら、事情があって晴れ着を着たくても着ることのできない女性たちの方に思いが募った。同時に、成人式の有様に強い違和感を覚えた。
成人の日の由来は、「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」(祝日法第2条)というものだ。そして成人式とは、自治体が成人に達する人々を招き、激励・祝福する行事のことである。
成人の日の由来に異論はないが、今の成人式の有様には疑問がある。式場は一部の発情した野獣たちが騒ぐような場となり、晴れ着のファッションショーに出演する場のように見えることがあるからだ。実際、その程度の意識しかない新成人がいるのは確かだ。
もちろん、成人としての自覚や責任をしみじみと思い、自分の将来や使命を真面目に考えようとする新成人もいる。そうした新成人があまり目立たないのは、テレビカメラが野獣や晴れ着ばかりに向けられているからだ。メディアの意識が、いかに低いかが分かる。
わたしの故郷の成人式は、いつの頃からか夏の盆休みに開催するようになった。旧産炭地で所得の低い家庭が多いので、振り袖を着なくてもよいように配慮したのだ。5月の連休に開催している自治体もあると聞いた。この考えには、大賛成である。
どうだろう、他の自治体も晴れ着でお金がかかる1月を避け、夏の盆休みや5月の連休に変更したらいい。晴れ着のことで悩む必要はなくなり、今回のように金儲けのカモにされるような卑劣な事件も起こりようがない。
成人の日を、国民が心から祝えるような日でありたいと願うからこその提案である。
今のままでは、成人の日がますます見当違いの方向に行くような気がしてならない。