【街景寸考】「テレビCM」のこと

 Date:2018年04月11日08時01分 
 Category:エッセイ 
 SubCategory:街景寸考 
 Area:指定なし 
 Writer:大昭寺いさじ
 民放テレビは録画で見る以外はあまりない。CМを見るのが煩わしいからだ。当然ながら録画を見るときはCМを飛ばしながら見る。その場合でもバラエティ系、ドラマ系はほとんど見ない。見るのは報道番組や韓流時代劇、ドキュメンタリー系、アクション系などの洋画番組だけである。必然、NHKやEテレを見る機会が多くなってしまう。

 民放、NHKを問わず特に韓流時代劇が好きになった。どれも見応えがあり、日本のドラマがつまらなく見えるようになった。「気の抜けた緩さ」を感じるからだ。丁度、高校野球を見た直後に、プロ野球を見たときのような感じに似ている。クイズ番組は嫌いではないが、カミさんばかりが先に正解を言い当てるので、見たくなくなってきた。

 とにかく民放は、番組の中身はともかくとして、番組の途中で無遠慮に画面を占領してくるCMが不愉快でならない。CMに切り替わるたびに集中した気分が壊され、苛立たしくなってしまう。同時に番組提供のスポンサーが憎くなる。民放のテレビ局が、このCМで成り立っていることは百も承知で言っている。

 それにしても、番組途中で画面を占領するCМが1、2回ならともかく、あまりにも多過ぎ、時間も長すぎる。たまには心を癒してくれる映像もあるが、大半は商業主義をむき出しにした騒々しい映像ばかりである。

 騒々しいばかりではない。CMの中には、社会的弱者に辛い思いをさせるものがあり、色仕掛けでくるものもあり、小馬鹿にしているようなものもある。何の宣伝なのか分からないのもある。こうしたCМに某食品会社は年間百億円もの宣伝費を注ぎ込んでいると聞き、原価と販売価格の乖離を想像したら、「商品価値ってなんだろう」と懐疑的になる。

 その点、NHKの番組はCМがないというだけで平穏な気持ちで見ることができる。お堅い社風が良いと思っているわけではない。たまたま興味を惹かれる番組がNHKに多いだけである。特に好きな番組は、新日本風土記などの紀行番組やドキュメンタリー番組、スペシャル番組だ。いずれも見応えがあり、適度な熱量に抑えている冷静さもいい。

 CMスポンサーに言いたい。洪水のようにCMを流して莫大な宣伝費をかけても、その額に見合った効果はほとんどないのではないか。そうであれば、実際の効果に見合う宣伝を投下したらいい。費用が節約でき、露出時間が減って視聴者も喜ぶ。何よりも企業イメージも今よりは良くなるのではないか。